1級管工事施工管理技士の資格取得について
建設業に携わっている人や、すでに「2級管工事施工管理技士」の資格を持っている人は、将来的にキャリアアップなどを目的として「1級管工事施工管理技士」の試験を受験しようと考えている人もいるかと思われます。
「1級管工事施工管理技士」に合格するための勉強時間は平均100時間〜400時間が必要と言われています。
働きながら勉強時間が確保できるか不安という人や、どのように勉強を進めればいいか分からないという人もいるでしょう。出来るだけ効率的に勉強していきたいし、出来る限りの対策はしておきたいですよね。
本記事では「1級管工事施工管理技士」に合格するための対策についてご紹介していきます。これから「1級管工事施工管理技士」の試験を受験しようと思っている方は是非ご覧ください。
1級管工事施工管理技士とは?
「1級管工事施工管理技士」とは、配管工事の施工管理に関わる高い技術と知識を持つ専門家として認められる国家資格です。
「1級管工事施工管理技士」の資格取得者の多くは、サブコンやゼネコンなど建設業に関わる業務に携わることが多いです。
配管はほとんどが建物の壁の中や天井裏に設置されるため普段は目立たないですが、施工不良などがあると大きな事故にも繋がって、人々の生活に影響を及ぼします。そのため、管工事に関わる施工計画の作成から工程管理、品質管理やコスト管理、作業員の安全管理などを行える知識と経験を持った技術者が必要とされています。
建設業において、配管工事を行うための資格は必要ありませんが、専任技術者や主任技術者として業務を行う場合、管工事施工管理技士の資格が必要となります。
しかし、「2級管工事施工管理技士」では監理技術者や特定建設業の専任技術者、一般建設業の主任技術者になることができません。そのため、より大きな工事や幅広い工事を担当する場合は「1級管工事施工管理技士」の資格が必要になってきます。
当然「1級管工事施工管理技士」になると年収も上がる傾向にあり、会社から重宝され、キャリアアップや転職もしやすい人間になります。「1級管工事施工管理技士」の平均年収は、約500万円~700万円と高い水準となっています。
1級管工事施工管理技士の試験の概要
「1級管工事施工管理技士」の試験には一次試験と、それを合格した先に二次試験があります。
これまで、「1級管工事施工管理技士」受験する場合は指定された学科を履修していなければならず、学歴にもよりますが3年~15年の実務経験があることが条件でした。しかし、令和6年から受講条件は大幅に変更されました。一次試験は学歴など関係なく、受験年度における年齢が19歳以上であれば誰でも受験が可能となっています。一次試験の受験の窓口はかなり広くなった印象です。
二次試験では、1級一次試験合格者は、合格後に5年以上の実務経験、特定実務経験1年以上を含む3年以上、監理技術者補佐としての1年以上の実務経験年数が求められます。2級第二次試験及び1級一次試験の合格者は、5年以上の実務経験と特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験が求められます。
試験は札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の10地区で行われます。1級管工事施工管理技士の受験料は、一次試験、二次試験それぞれ10,500円です。
※参照:一般財団法人全国建設研修センター
一次試験の試験内容と対策
一次試験では、午前は「原論」「電気工学」「建築学」「空調・衛生」「設備」「設計図書」、午後は「施工管理法」「法規」「施工管理法(能力問題)」で構成されています。
このうち、「空調・衛生」は23問の中から12問、「法規」は12問の中から10問を選択することになっています。
試験は基本的にはマークシート方式で4択問題であり、配点は1問につき1点、合格基準は「全体の得点60%以上」かつ「施工管理法(能力問題)の得点50%以上」です。解答する問題数は、全体で60問、施工管理法(能力問題)で7問あるので、全体の36問以上かつ施工管理法(能力問題)で4問以上正解していれば合格となります。
一次試験の対策として、参考書やテキストを読む前に実際に過去問を解いていってみましょう。「1級管工事施工管理技士」の一次試験は出題範囲が広いため、参考書やテキストを読むだけでかなりの時間がかかってしまうためです。
過去問を何回もくり返し解くことで、問題傾向や解き方のパターンを暗記することができ実力が身についていきます。過去問を繰り返して説いていると、得意不得意の科目を見極めることができるようになります。
不得意な科目については参考書やテキストを読んで理解を深めましょう。どんな問題が出題されてもいいように、得意科目をできるだけ増やすことがポイントです。
二次試験の試験内容と対策
二次試験は、4問全て記述式の問題になっており、2問目と3問目は2つの問題の中から1つを選択して回答する形式です。60点満点で採点は減点方式で60%以上なら合格となります。
試験内容は1問目「施工要領図」、2問目は「工程管理」、3問目は「法規」、4問目は「空気調和設備に関する問題」「給排水衛生設備に関する問題」から選択及び「施工記述」となっています。試験時間の2時間45分の内に4問記述することになるので時間との勝負でもあります。
試験の鍵を握るのは最終問目の「施工記述」です。受験者に実務経験と施工知識があって、記述表現ができるかどうかを判別されます。
施工記述については「空調設備の施工」「衛生設備の施工」2つの出題課題内から1つを選択記述します。
会場で考えながら記述すると時間が足りないので、いずれかの課題に絞り、想定される施工課題についての記述文を事前に作成し、まとめた内容を暗記しておくといいでしょう。実務経験に基づいて記述しないといけないということもあり、過去問だけでは対策しきれません。ですが過去問である程度のパターンは覚えることができます。文章力に自信がないという人は、文章力の向上させるための勉強や誤字・脱字しないように心がける必要もあります。
また、文章は自分の視点だけではなく第三者の視点も重要になってきます。
「1級管工事施工管理技士」の資格を持っている上司などに文章を見てもらったり、セミナーなどで講師に文章の添削をしてもらうようにすると効果的です。
まとめ
「1級管工事施工管理技士」の資格はしっかりと対策を行えば、合格する確率はかなり高い資格です。
仕事以外の時間でしっかりと時間を確保し、仕事をする中でも休み時間や移動時間を利用してコツコツと勉強をしていきましょう。
自分一人では厳しそうであれば、講習やセミナーを利用すると良いでしょう。
キャリアアップにも役立ちますので「1級管工事施工管理技士」にチャレンジしてみてください。