2級建築施工管理技士の経験記述対策法!ポイントや注意点も合わせてご紹介


2級建築施工管理技士は、建築の現場全体を管理するために必要な技術力と知識を証明する国家資格です。建築業界に携わる方なら誰もが最初に目指す資格といえるでしょう。
しかし、試験合格を目指す上で多くの受験者にとって難題となっているのが、二次検定の「経験記述」です。経験記述では実務経験の豊富さだけでなく、経験していない工事概要に対しての柔軟な思考力、それを明確に伝えるスキルが求められます。
そこでこの記事では、経験記述対策として具体的なポイントや注意点を中心に、2級建築施工管理技士の二次検定に関する概要や、効率的な対策法について詳しく解説していきます。
2級建築施工管理技士の概要
まずは2級建築施工管理技士の概要を説明します。令和6年度より「受験資格」と「経験記述の出題内容」に対して新制度も組み込まれていますので、しっかり確認しておきましょう。
令和6年度以降の試験概要
【受験資格】
第一次検定の受験資格は、試験実施年度末時点で満17歳以上であることが条件となり、学生のうちからでも受験できます。しかし第二次検定の受験資格は、2級一次検定合格後に3年以上の実務経験を積むか、1級一次検定合格後に1年以上の実務経験を積むことが必要です。これまでの学歴に応じた受験資格から、実務経験を重視する形に変更されているため、注意が必要です。
【第二次検定・経験記述の出題内容の見直し】
これまでの形式では、受験者自身が経験した工事概要を記述し、その経験に基づいて施工管理上の課題や対策を解答する形式でした。
新しい形式では、設問に示された建物概要や現場状況などの工事概要に対し、受験者の経験や知識を基に施工管理上の課題や対策を解答する形式に変更されました。2級試験では、「新築」「解体」「改修」に応じて複数の工事概要が提示され、その中から1つを選択して解答することになります。
具体的には、提示された新築、解体、改修といった工事パターンに対し、施工方法、資材の取り扱い、養生方法などについて、工種名や作業名、懸念事項とその対策を明確に述べる必要があります。
この変更により、これまでのように自身の経験を暗記して記述するだけでは対応が難しくなります。提示された工事概要を的確に理解し、適切な施工管理の課題や対策を述べる能力まで求められるのです。
受験を検討されている方は新しい制度を正確に理解し、計画的に準備を進めることが大切です。この記事内最後に対策もポイントまで記載していますので、ぜひ最後まで読まれてください。
出題形式と試験内容
2級建築施工管理技士の第二次検定は、5つの問題で構成されています。
問題1:施工経験記述。受験者の実務経験や知識に基づく記述が必要
問題2:施工管理に関する用語説明と留意事項の記述
問題3:ネットワークやバーチャート工程表の作成・解釈
問題4:法規に関する四肢択一式
問題5:施工に関する四肢択一式
以上のように、記述式と選択式が混在しています。試験時間は2時間です。長く感じるかもしれませんが、最初の記述式で長く時間をかけすぎてしまい、あとの四肢択一式の時間が足りなかったなどはよくあります。時間配分に注意しましょう。
また、試験内容は変更される可能性があるため、最新情報は試験実施機関(一般財団法人建設業振興基金)のホームページなどで確認しましょう。
試験日程と受験費用
2級建築施工管理技士試験の試験日程と受験費用については以下になります。
【試験日程】
試験区分:申請受付期間/試験日/合格発表日
第一次検定(前期):令和7年2月7日(金)~2月28日(金)/令和7年6月8日(日)/令和7年7月9日(水)
第一次検定(後期):令和7年6月25日(水)~7月23日(水)/令和7年11月9日(日)/令和7年12月22日(月)
第二次検定:令和7年6月25日(水)~7月23日(水)/令和7年11月9日(日)/令和8年2月6日(金)
【受験費用】
検定区分:受験料(非課税)
第一次検定:6,150円
第二次検定:6,150円
第一次・第二次検定同時申請:2,300円
受験申請はインターネット申請と書面申請の両方できます。ただし、前期試験の申請はインターネット申請のみとなります。
また、書面申請の場合は受験手数料に加えて願書代1,000円が必要なことも念頭においておきましょう。
合格率
2級建築施工管理技士試験の合格率は決まっておらず、年度によって変動があります。直近のデータを以下の表にまとめました。
実施年度 一次:受験者数/合格者数/合格率 二次:受験者数/合格者数/合格率
令和6年度: 22,885人/11,550人/50.5% 19,283人/7,851人/40.7%
令和5年度: 27,116人/13,387人/49.4% 21,859人/6,999人/32.0%
令和4年度: 27,004人/11,421人/42.3% 14,909人/7,924人/53.1%
令和3年度: 32,128人/15,736人/49.0% 23,380人/8,205人/35.1%
令和2年度: 32,468人/11,366人/35.0% 23,116人/6,514人/28.2%
以上のデータから、第一次検定の合格率は約35%から50%の範囲で推移し、第二次検定の合格率は約28%から53%の間で推移していることがわかります。
そのため、総得点の60%以上をとっていると合格の可能性が高いとされています。まずは60%以上の点数がとれることを最低ラインとして、試験勉強に励みましょう。
2級建築施工管理技士(経験記述)攻略のポイントと注意点6選
最後に、2級建築施工管理技士の経験記述攻略を目指して、ポイントとなる部分と注意点を合わせて6選、ご紹介します。
過去問をひたすら解いておく
経験記述の対策には、過去問を繰り返し解くことが効果的です。理由としては、過去の出題傾向を把握できるうえに、どのような表現や構成が求められているかが見えてくることが挙げられます。
新制度の経験記述では、自身の経験だけではなく多様な工事概要に対応できる幅広い知識と柔軟な思考力が求められます。問題ごとの解答例を確認しながら、自分の実務経験や知識に置き換えて書く練習をしておくと、試験本番での対応力が格段に高まるでしょう。
実体験のように具体的に記述できるようにしておく
経験記述では、実際に自分が関わった工事の内容だけでなく、経験していない工事概要でも実体験のように具体的に書ける知識や柔軟な思考力が合否を左右します。現場での実務能力と合わせて、工事ごとにどのような対応ができるかを評価するためです。
たとえば「安全管理を徹底した」だけでは不十分です。「およそ3mほどの高所作業中の落下防止のため、安全帯の使用を徹底し、朝礼での注意喚起を毎日実施した」など、現場の状況や対応策を数字や具体例とともに記述することが重要になります。
また、もしもまだ経験したことがないような工事概要が出題された時も焦らず対応しましょう。対策としては、多様な例の過去問をひたすら解きましょう。その中でもただ例文を暗記するのではなく、自身だったら現場の状況に合わせてどのように対応するかなどを想像しながら回答し、柔軟な思考力を養っておくことが大切です。
どうしても回答がでない場合は、経験豊富な上司や先輩から意見を求めることも有効です。自身がまだ経験していない知識がつけられ、客観的な立場からの意見ももらえるためです。
参考書の例文を写すのではなく、自分の言葉で経験を整理して表現する練習を日頃から重ねておきましょう。
対象となる工事概要すべて記述できるようにしておく
経験記述では、受験者は自身の経験に頼るだけでなく、多様な工事概要に対応できる幅広い知識と柔軟な思考力が求められます。
令和6年度より、2級建築施工管理技士の第二次検定において、経験記述問題の形式が変更されました。従来は受験者自身が経験した工事について記述する形式でしたが、変更後は試験問題内で提示された工事概要に基づき、施工管理上の課題や対策を記述する形式となっています。これにより、受験者は与えられた工事概要に対して、施工計画、品質管理、工程管理の各視点から適切な対応策を検討し、記述する能力が求められます。
この変更に伴い、受験者は自身の経験に頼るだけでなく、多様な工事概要に対応できる幅広い知識と柔軟な思考力が求められます。過去問演習や実務経験を通じて、各工事概要に対する理解を深め、どのような出題にも対応できるよう準備を進めることが重要です。
伝わりやすい書き方と字の書き間違いに注意する
経験記述では、内容が正しくても伝わりづらければ評価は下がります。そのため、文の構成や言葉選びは読み手を意識して、簡潔かつ具体的に書くことが大切です。
特に注意したいのが、漢字の書き間違いや誤字脱字です。試験ではすべて手書きとなるため、普段パソコンで文章を書くことが多い人ほど注意が必要です。
字が多少下手でも問題はありませんが、丁寧に読みやすく書くことが基本です。書く前に一度文章を下書きし、内容と表現を見直す習慣をつけておきましょう。
テーマと整合性がとれるよう注意する
経験記述では、設問のテーマに対して一貫した内容を記述することが重要です。テーマに沿っていない回答は減点対象になりやすく、本来あるはずの実務能力が正しく伝わらないためです。
たとえば「品質管理」がテーマであるにもかかわらず、安全対策や工程短縮の話に終始してしまうと、評価されにくくなります。対応策としては、まずテーマの意味を正確に理解し、そのテーマに関係する自分の経験や、経験しておらずともどのような対策や行動がとれるかを明確に整理しておくことです。
書き始める前に「これは与えられたテーマの話として筋が通っているか?」と確認する習慣を持つと、内容のブレを防げるでしょう。
添削指導サービスなどを利用する
経験記述は得意不得意がはっきりとでてしまいます。知識や経験により頭の中ではサッと内容が浮かんでも、それを読み手に伝わる言葉に変えることが難しく、とくに日頃から言葉のコミュニケーションや文章を書くことが少ないと、非常に難題と感じるでしょう。
そのため、もしも苦手だと感じる方には添削指導サービスの利用が効果的です。理由としては、自分では気づきにくい表現の甘さや構成の乱れを、第三者の視点で客観的に指摘してもらえるからです。
特に初めて受験する人や文章作成に自信がない人にとっては、プロの添削で書き方のコツや方向性が明確になるでしょう。実際の工事経験をもとに記述していても、言葉の選び方が不適切であれば評価が下がってしまうこともあります。
そうしたリスクを避けるためにも、早い段階で添削を受けて改善点を把握しておくことが大切です。
独学をサポートする効率のいい対策法
2級建築施工管理技士の経験記述では、実務経験をわかりやすく伝える力が求められます。しかし、独学では表現方法や専門用語の使い方に迷う方も多く、思うように対策が進まないケースもあります。そうした悩みを解消できるのが「独学サポート事務局」のサービスです。
おすすめの理由は以下の通りです。
1.添削サービスでは、提出した文章を専門家が添削し、伝わりやすい構成や適切な用語の使い方を指導
2.作文作成代行サービスでは、実務経験をヒアリングして、高品質な記述文を作成してくれる
3.添削された文章や代行文をもとに、自分の表現力や構成力も自然と身につく
4.自分だけでは気づきにくいミスや改善点を指摘してもらえるため、学習効率が大きく向上
時間が限られる中でも確実に力をつけたい方には、「独学サポート事務局」の活用が効果的でしょう。

まとめ|経験記述を対策して2級建築施工管理技士合格を目指そう!
この記事では、経験記述対策法として具体的なポイントや注意点を中心に、2級建築施工管理技士の二次検定に関する概要や、効率的な対策法について詳しく解説しました。
二次検定は実際の実務経験を記述することに加え、与えられた工事概要が実際に経験していないことでも、それに対応する思考力が求められるようになったことで非常に難易度が上がり、合格への高い壁となっています。しかし、対策をしっかり行った方は確実に合格を掴み取れるでしょう。
この記事を参考に経験記述の対策を行い、2級建築施工管理技士合格を目指しましょう。